Research Press Release
【衛生】慢性閉塞性肺疾患(COPD)の新しい治療法か?
Nature Communications
2015年3月11日
マウスを使った研究で、変形性関節症の治療薬が慢性閉塞性肺疾患(COPD)と喫煙誘発性肺気腫の症状の緩和に役立つことが明らかになった。この研究成果の報告が、今週掲載される。
COPDには、肺気腫、慢性気管支炎などの疾患が含まれており、その症状としては、気道の炎症とそれを原因とする息切れがある。COPDは死者数がかなり多く、肺がんの発症リスクも高い。肺胞のマクロファージは、特に喫煙者の症例で肺気腫の進行に重要な役割を果たしているが、現在のところ、肺気腫の有効な治療法はない。
今回、倉林正彦(くらばやし・まさひこ)たちは、COPDのマウスモデルの研究で、アレンドロネートという薬が症状を緩和することを報告している。この薬は、吸引した時だけに症状を緩和する効果があるが、マクロファージを狙い撃ちして、その死を誘導する。最近になってCOPDの管理が進歩して、症状の軽減と発生頻度の低減に役立っているが、今でも新しい治療法が大いに必要とされている。現在、アレンドロネートは、代謝性骨疾患の治療薬として臨床で使用されており、安全な飲み薬として良好な耐容性を示している。倉林たちは、アレンドロネートが安全で有効な非侵襲的治療法としてCOPD患者に適用されるようになることを期待している。
doi:10.1038/ncomms7332
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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