Research Press Release
米国中部で洪水の発生回数が増えている
Nature Climate Change
2015年2月10日
米国中部では洪水の発生頻度が上がっているが、洪水の激しさが変化したことを示す証拠はほとんどないという報告が、今週のオンライン版に掲載される。洪水の発生頻度の変化は、季節的降雨のパターンの変化と気温上昇に起因すると考えられている。
今回、Iman MallakpourとGabriele Villariniは、774か所の河川流量測定点での観測記録を用いて、1962~2011年の米国中部での洪水事象の変化を調べた。
その結果、洪水の発生頻度はノースダコタ、サウスダコタ州を西端、アイオワ、イリノイ、オハイオ州を東端とする広範な地域にわたって上昇した一方、米国中部の北東部と南西部で低下していることが明らかになった。こうした変化は、降雨量の変動傾向と一致しているが、カンザス州とネブラスカ州は例外で、降雨量が増加したにもかかわらず、貯水池の建設や枯渇していた地下水の充填によって洪水の発生頻度は減少した。
また、MallakpourとVillariniは、洪水の頻度が最も高くなるのが春と夏なのに降雨量のピークは夏に記録されるという食い違いについても調べた。今回の研究で対象となった地域の北部では、洪水の発生頻度が春に高くなる原因は温暖化による融雪量の増加であり、その結果として洪水の発生頻度の上昇が最も大きくなるという考え方をMallakpourとVillariniは示している。
doi:10.1038/nclimate2516
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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