Research Press Release
20世紀初頭における太平洋の風と気候温暖化の速度との関連性
Nature Geoscience
2014年12月23日
Early twentieth century link between Pacific winds and climate warming rate
太平洋の貿易風の強さは21世紀初頭の気候温暖化の速度に影響を及ぼした可能性があるという報告が、今週のオンライン版に掲載される。1910年~1940年の急速な地球温暖化は太平洋の貿易風が弱かった時期と一致しており、続く1940年~1970年ごろまでの温暖化速度の鈍化の際には風が強くなっていた。
Diane Thompson等は太平洋西部のサンゴを分析し、1894年~1982年における太平洋の偏西風の突発的強化を再現した。彼らは、太平洋の貿易風の弱化と関連がある偏西風の強化が1910年~1940年の急速な温暖化の時期に最も頻発し、それに引き続く30年間の温暖化が安定していた時期にはあまり頻発しなかったことを見つけた。著者たちは、太平洋の風の強さと地球温暖化は密接に関連していると結論している。
関連するNews&Viewsの記事で、Stefan Bronnimannはこの研究が「20世紀初頭の気候と21世紀初めに気候温暖化が予想外に鈍化したこととを関連づけている」ことを示唆している。
doi:10.1038/ngeo2321
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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