Research Press Release
【農業】炭素中立なコムギ生産を目指して
Nature Communications
2014年11月19日
コムギの栽培法を改良することで、コムギ栽培による二酸化炭素排出量を大幅に減らせる可能性が浮上した。休閑期(作付けしない期間)の頻度を減らすと同時に穀実用マメ科作物を輪作に加えることで、作物収量を増やし、炭素排出量を減らせるという報告が、今週掲載される。
コムギは、世界で2番目に人気の高い食料源であり、また2050年には世界の穀物に対する需要が現在の70%増になると予想されている。現在の農法では、コムギの単作あるいはコムギと休閑のサイクルによる栽培(2年の栽培と1年の休閑で1サイクル)が行われている。休閑期には、複数回の耕運(土壌の機械的撹拌)が行われ、耕地に雑草が生えないようにしている。しかし、耕運には大量の化石燃料が必要で、耕運によって土壌有機物が減るため、この栽培法が、環境に深刻な影響を及ぼしている。
今回、Yantai Ganたちは、さまざまなコムギ栽培法による二酸化炭素排出量を調べた。その結果、休閑期の頻度を減らし、窒素固定を行う穀実用マメ科作物(例えば、レンズマメ)を輪作に加えることで、コムギ栽培による二酸化炭素排出量を減らし、大気からの二酸化炭素の吸収が大気中への排出を上回るようにできる可能性が明らかになった。
doi:10.1038/ncomms6012
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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