Research Press Release

カカオで高齢者の認知機能を促進

Nature Neuroscience

2014年10月27日

カカオ豆に多く含まれるフラバノールという成分は天然に生じるダイエット化合物であり、これが老齢者の認知機能を高めるかもしれないとの報告が、 今週のオンライン版に掲載される。

加齢に伴う認知機能の減退では、歯状回(DG)という脳領域に変化がみられる。これまでの研究では、加齢に伴う歯状回の機能低下が時の経過に伴う記憶力の低下に関わる可能性が報告されている。

Scott A. Smallらは、37人の高齢被験者に対し、カカオのフラバノールが歯状回の機能と認知機能を高めるかについて調査した。被験者は50~69歳で、3か月にわたってカカオのフラバノールを多量もしくは少量投与された。Smallらは、カカオフラバノールを3か月間多量に摂取した被験者 は少量摂取群に比べ、遅延再認課題においてはるかに反応が速いと報告している。3か月間のフラバノール接種前後の脳のスキャン画像の比較から、Smallらはこうしたフラバノールによる能力の改善がDGにおける脳血流量の増加と相関していることを発見した。これは、カカオフラバノールを食品として多く摂取すると高齢者の歯状回の機能が増強され、ひいては認知機能が改善される可能性があることを示唆している。

doi:10.1038/nn.3850

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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