脂肪細胞への遺伝子送達
Nature Materials
2014年10月6日
肥満マウスモデルの脂肪細胞を特異的に標的化するペプチド系遺伝子キャリアを用いて、治療遺伝子を送達することができ、それによって体重減少の効果が認められたことが、今週のオンライン版で報告される。ヒトにおける実現可能性と安全性を試験するためにさらなる研究が必要であるが、今回の分子複合体を用いて、肥満と肥満によるメタボリックシンドロームを治療できる可能性がある。
肥満の原因は過食である場合が多く、過食は脂肪細胞へのエネルギー貯蔵をもたらす。従って、脂肪組織が抗肥満治療の標的となる。しかし、遺伝子送達システムの場合、脂肪細胞はトランスフェクションが難しいため、脂肪細胞に遺伝子治療を適用することができなかった。
今回、Yong-Hee Kimたちは、脂肪細胞を標的化するための配列を持つ短いペプチドと天然アミノ酸アルギニンからなる遺伝子キャリアを開発した。そして、成熟脂肪細胞の表面に見られるタンパク質と遺伝子キャリアが結合することによって、選択的に遺伝物質を成熟脂肪細胞に送達できることを示した。Kimたちは、この遺伝子キャリアを肥満マウスに適用することによって、遺伝子キャリアと脂肪血管系が特異的に結合し、脂肪細胞において細胞内移行と遺伝子発現が起こることを見いだした。さらに、治療遺伝子(脂肪酸結合タンパク質4の発現を抑制する短いヘアピンRNAからなる)が遺伝子キャリアと結び付いたオリゴペプチド複合体を肥満マウスに注射することによって、代謝回復と20%以上の体重減少が起こることを明らかにした。
doi:10.1038/nmat4092
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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