データセット:10時間分のチンパンジーの声 *IMAGES & AUDIO*
Scientific Data
2014年8月19日
10時間以上にわたる若いチンパンジーの音声がカタログ化、デジタル化されてウェブ上で公開されたことが、Scientific Dataで発表された。チンパンジーの音声コミュニケーションは、チンパンジーの社会的行動の重要な一側面としても、人類の言語の発達を明らかにするための糸口としても、多くの研究者から注目されている。
人類の言語と霊長類の音声コミュニケーションとのきわめて大きな違いのひとつは、音声のシグナルが生来のものではなく、どれだけ学習されたものであるかという点である。しかし、最近の研究では、チンパンジーの音声コミュニケーションに関して、指示的シグナル伝達や地域的方言など、人類の言語の特徴に似た側面を示す証拠が見いだされている。
自由生活するチンパンジー幼獣から録音された今回の最大規模の音声記録データセットは、1971年から1973年にかけて、ゴンベ国立公園(タンザニア)で故Hetty van de Rijt-PlooijとFrans X. Plooijが収集したものである。その録音テープには、若いチンパンジー17頭の「ブーブー」、「ホーホー」、「ワーワー」、「キーキー」などの音声が収録されている。この録音は分析が行われておらず、チンパンジーの音声を理解しようとするこの最も大々的な試みは完結していないことになる。
このデータセットをさらに多くの研究者が利用可能なものとするため、アナログ録音された音声は、デジタル化のうえマコーリー・ライブラリー(Macaulay Library)に保存され、その音声の背景的状況を説明するオランダ語原文を翻訳した英語とともに、ウェブ上でドライアド・デジタル・リポジトリ(Dryad Digital Repository)から制限なく公開されている。
doi:10.1038/sdata.2014.25
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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