Research Press Release
米国東海岸に沿った広範なメタンの浸出
Nature Geoscience
2014年8月25日
500カ所以上のメタン浸透地域(海底でガスを滲出する天然の噴出口)が米国の大西洋沿岸地域に沿って見つかったとの報告が今週掲載される。温室効果ガスとして働く可能性があるこのメタンが大気に到達すると、気候変動に寄与する可能性がある。
Adam SkarkeとCarolyn Ruppelたちは、ソナー機器を用いてノースカロライナ州ハッテラス岬とマサチューセッツ州ジョージバンクの間の米国大西洋岸に数百カ所のメタン浸透地域を発見した。この結果は、海洋堆積層の中には大量のメタンが、氷に似た結晶構造を持つメタンクラスレート・ハイドレートとして埋蔵されていることを示している。浸透地域の大多数は比較的水深の浅い、クラスレート・ハイドレートが安定である上限の深さの地域にある。従って、海洋の水温が少し変化するとクラスレート・ハイドレートが不安定となり、大量のメタンを海洋と大気へと放出することになる。
メタンクラスレート・ハイドレートと気候変動との間の関連性は、今のところよく分かっていない。しかしながら、関連するNews & Viewsで、John Kesslerはこの発見が「海洋メタンと気候との間の関連性に対する理想的な試験環境を提供する」と示唆している。
doi:10.1038/ngeo2232
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
化石:最も古く知られている「爬虫類」の足跡Nature
-
惑星科学:月内部の非対称性を示す証拠Nature
-
古生物学:「シカゴ」始祖鳥が、この古代鳥に新たな知見をもたらすNature
-
理論物理学:二体問題を解くNature
-
がん:乳がん治療薬の臨床試験で生存率の向上が示されたものの、がんの消失は限定的であったNature Communications
-
Nature Scientist at Work コンペティションの受賞者の発表Nature