【遺伝】計算力と読解力には共通の遺伝的要因がある
Nature Communications
2014年7月9日
子どもの読解力と計算力には、大きな遺伝的要因が重複的に存在していることが明らかになった。今回の研究では、こうした認知形質に共通した複雑な遺伝的基盤を浮き彫りにし、計算能力と書記言語能力の発達に対して学習環境が果たしうる重要な役割を明確にした。その詳細を報告する論文が、今週掲載される。
認知形質は、著しい社会経済的影響を生み出し、認知能力の向上は富の増加と平均余命の延びと関連していることが実証されている。また、計算力と読解力に優れた家系の存在が知られているが、これらの形質に影響する複雑な遺伝子系については、ほとんど解明されていない。
今回、ウェルカムトラスト・ケースコントロールコンソーシアム(Wellcome Trust Case-Control Consortium)とRobert Plominたちのグループは、イングランドとウェールズの12歳の子どものデータ(双生児のデータと非血縁者のデータの両方を含む)を用いて、計算力と読解力に対する遺伝的要因の寄与度に関する包括的解析を共同で行った。認知能力の測定は、確立された読解力と流暢性の試験と英国ナショナルカリキュラムに基づく数学問題を用いて実施された。
この共同研究チームの推定によれば、子どもの読解力に影響する遺伝子の約半数が数学問題の成績にも寄与していた。この知見は、子どもの学習環境と遺伝子構成の両方が読解力と計算力の類似性に寄与していることを示唆している。
doi:10.1038/ncomms5204
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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