Research Press Release
モンスーン地域での豪雨と少雨の変化
Nature Climate Change
2014年4月29日
1951年から2011年の間に、南アジアの夏の雨季のピークにおける降水量がかなり減少してきていることが明らかになった。この研究成果は、気候変動が極端な降雨に及ぼす影響に関する理解を深めるものであり、水資源と農業に関連したリスクなど、さまざまなリスクの管理向上を促進することになるだろう。この結果を報告する論文が、今週のオンライン版に掲載される。
今回、Deepti Singhたちは、インド中部での60年間の降水量の観測結果に統計分析手法を適用して、極端な降雨と乾燥について調べた。その結果、極端な豪雨と少雨に変化が生じており、その原因が、大気状態の変化であることが判明した。豪雨の強度は、研究対象期間中に増加したが、このことは、モンスーン地域中心部の上空の反時計回りの低層大気循環が強化されたことと関連している。また、少雨については、頻度が上昇したが、強度は減少した。これは、時計回りの低層大気循環と中緯度域から冷たい空気を運んでくる中央アジア上空での反時計回りの高層大気循環の組み合わせが関連していることが分かった。
doi:10.1038/nclimate2208
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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