Research Press Release
森林再生が炭素貯蔵と生物多様性に役立つ
Nature Climate Change
2014年4月29日
ウシの放牧地で森林が自然に再生できるようにすれば、迅速かつ低コストで炭素を貯蔵でき、多様な生態学的群集を支えることができると結論づけた論文が、今週のオンライン版に掲載される。これまで、生物多様性に寄与しつつ気候変動を緩和する高い費用効果の森林管理戦略を策定することは難しい課題だった。
コロンビアのアンデス山脈の西側には、他の地域では見られない数多くの植物種と動物種を支える生態系があるが、その存続が脅かされている。今回、James Gilroyたちは、この地域での炭素貯蔵量、生物多様性と土地の経済的価値について調べた。その結果、原生林の伐採後に自然に再生する二次林が、多様な生物群集を支え、わずか30年以内に大気からの著しい炭素貯蔵を達成することが判明した。さらに、この地域での主要な土地利用形態であるウシの大規模放牧の収益性がさほど良くないため、森林を再成長させるための費用は比較的低くてすむ。
少なくとも熱帯のアンデス山脈では、森林の再成長の促進が、地域社会、野生の動植物と気候に有益な結果をもたらす可能性がある。
doi:10.1038/nclimate2200
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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