Research Press Release

腸内の微生物が宿主の防御作用を促進する

Nature Medicine

2014年4月21日

マウスの新生仔の腸に微生物が早期にコロニー形成することが、それ以降の全身的な細菌感染に対する防御に関係することが明らかになった。この知見は、誕生から遠くない時期に抗生物質に曝されると、免疫細胞の発生が変化して、感染に対する宿主防御に支障が出ることを示唆している。

腸内の共生細菌は、免疫細胞の発生を促進するシグナルを発する。これまでの研究によって、新生児を抗生物質に長期間曝露すると細菌の腸内への定着がうまく行かず、晩発性敗血症のリスク上昇に結びつくことが判明している。

Hitesh Deshmukh、G Scott Worthenたちは、臨床的に重要な3種類または5種類の抗生物質を組み合わせ、子宮内で、また誕生後に新生仔マウスに長期間これを投与すると、大腸菌E. coliK1株と肺炎桿菌の感染によって生じた敗血症に対する防御作用が弱まることを発見した。通常は、誕生後間もない時期に、腸内微生物が好中球(免疫細胞の一種で、大腸菌感染の制御に重要な役割を担う)の発生と血流中への移行を誘発する。周産期に抗生物質に曝露すると、この好中球数の初期の増加が抑制される。抗生物質投与したマウスに微生物を移植すると、循環血中と骨髄の好中球が増加し、大腸菌感染による敗血症に対する防御が回復する。

doi:10.1038/nm.3542

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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