Research Press Release
キッチンでグラフェンを作る
Nature Materials
2014年4月21日
何百リットルものグラフェンシート含有溶液を作製する工程が、今週のオンライン版に報告されている。この方法は、グラファイト片を欠陥のないグラフェンに変換するものだが、非常に簡便なので、原理上、家庭用電化製品を使って家庭で再現できる可能性がある。
Jonathan Colemanらは、高せん断ミキサーや調理用ブレンダーといった市販の機器を使って、ミリリットルサイズの実験用フラスコから工業用タンクまで、大小さまざまな容器に高分散グラフェン溶液を得た。溶液中で高速回転機器によって発生したせん断力は、グラファイト片を構成しているグラフェン層をはがせるほど強いが、グラフェン層の二次元構造は損なわれない。この手法は、二硫化モリブデンや窒化ホウ素など、興味深い光学的・電子的特性を持つ他の層状化合物にも有効である。
Colemanらは、生成したグラフェンシートをフィラーとして用いてプラスチック材料を機械的に補強することによって、また太陽電池などの電極用材料として用いることによって、性能試験を行った。今回の方法で安価で質の良いグラフェンが大量生産されれば、さまざまな商業応用への展開が進むようになるとColemanらは示唆している。
doi:10.1038/nmat3944
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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