Research Press Release
半球気温の不一致
Nature Climate Change
2014年3月31日
過去1000年間の南半球気温の再構築が、これまでの試みに比べて倍近い数の記録を用いて新たに行なわれ、北半球と南半球の気温変動に差があることが明確に示された。また、現在(1974年以降)の温暖期は、過去1000年間に両半球で同時に異常高温が生じた唯一の期間であることが報告された。この分析について述べた論文が、今週掲載される。
古気候の温度記録は北半球での再構築が大部分を占めている。今回、Raphael Neukomたちは、南半球の陸域記録277件と海洋記録48件を用いて1000~2000年の気温変動を再構築し、公表されている北半球の再構築および1850年以降の計器記録の両方と比較した。その結果、1000~1850年の北半球の気温の変動範囲は、南半球よりも大きかったことが明らかになった。
以上の結果は、現在の気候モデルでは、海洋が大部分を占める南半球での、海洋大気力学の役割といった内部変動を過小評価しているため、北半球の気温と南半球の気温の相関が過大評価されていることを示唆している。南半球の気温変動は北半球と比べて遅れている上に、これらの影響によって緩和されているが、一貫した遅れは見られない。Neukomたちは、気候予測では内部変動を考慮する必要性があると提唱している。
doi:10.1038/nclimate2174
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
化石:最も古く知られている「爬虫類」の足跡Nature
-
惑星科学:月内部の非対称性を示す証拠Nature
-
古生物学:「シカゴ」始祖鳥が、この古代鳥に新たな知見をもたらすNature
-
理論物理学:二体問題を解くNature
-
がん:乳がん治療薬の臨床試験で生存率の向上が示されたものの、がんの消失は限定的であったNature Communications
-
Nature Scientist at Work コンペティションの受賞者の発表Nature