【天文学】太陽で連続して起こった爆発現象の相互作用による影響
Nature Communications
2014年3月19日
太陽で連続して起こった2度の爆発現象を原因とする激しい宇宙気象嵐が観察された。この新知見は、複数の事象の組み合わせによって宇宙での気象現象が生じる過程を解明する上で役立つかもしれない。この研究成果を報告する論文が、今週掲載される。
コロナ質量放出とは、太陽の外層からプラズマと磁場が大規模に放出される現象で、宇宙気象に大きな影響を与えることが知られている。宇宙気象は、地球を周回する宇宙船や人工衛星に影響を及ぼすことがある。コロナ質量放出が地球に達する頃には、通常の太陽風程度の影響しか及ぼさないことがほとんどだが、太陽から地球に到達する過程でコロナ質量放出がどのように変化するのかについては明確に解明されていない。今回、Ying Liuたちは、人工衛星による複数地点での観測によって、2012年7月23日に連続して起こった2度のコロナ質量放出を調べた。そして、この珍しい現象による高い風速の太陽風と磁場を伴う激しい宇宙嵐が、太陽から約1天文単位の地点での観測で確認された。Liuたちの観測結果には、この2つのコロナ質量放出が移動する過程での両者間の相互作用が示され、それによる伝搬方向の変化、磁場の増強、そして移動速度がわずかしか低下しなかったことが明らかになった。今回の研究は、太陽風速と磁場に関する現行モデルが過小評価となっている可能性があり、今回明らかになった相互作用を正しく考慮に入れる必要のあることを示唆している。
doi:10.1038/ncomms4481
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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