Research Press Release
精神遅滞に関連するde novo(新生)変異の同定
Nature Genetics
2010年11月15日
原因不明の精神遅滞症例のほとんどは、de novo(新生)変異によって引き起こされているとする考え方が、Nature Genetics(電子版)に掲載される論文に示されている。
大規模なde novoコピー数変異は、統合失調症、自閉症や精神遅滞の原因の1つとして知られているが、こうした一般的な疾患におけるde novo点変異の頻度や影響については、解明がほとんど進んでいない。J Veltmanと H Brunnerらの研究チームは、この点を明らかにするため、原因不明の精神遅滞患者10人について、タンパク質をコードする塩基配列全体を調べ、非罹患の両親のものと比較した。その結果、6人の患者において、タンパク質をコードする塩基配列に、両親にはないde novo変異が見つかった。これが、患者の知的障害の原因となっている可能性が非常に高いとされる。
今回得られた知見からは、この被験者集団における精神遅滞症例の大部分をde novo点変異と大規模なde novoコピー数変異によって説明しうることが示唆されている。
doi:10.1038/ng.712
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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