【天文学】地球近傍小惑星との接近遭遇
Scientific Reports
2013年12月12日
中国の月探査機「嫦娥(じょうが)2号」がショウガ形の地球近傍小惑星トータティス(4179 Toutatis)のフライバイ(接近通過)を行い、その地質学的特徴と形成に関する新たな知見をもたらした。その詳細を報告する論文が、今週掲載される。
2012年12月に、嫦娥2号は、トータティスとの接近通過を完了し、この小惑星に770メートルまで接近した。そのとき得られた高分解能画像から、トータティスに関するいくつかの新発見があったことを中国の月探査プログラムの嫦娥2号ミッションチームが報告している。ショウガに似た形のトータティスは、小さな頭部と大きな胴体部が首の部分で直角につながっており、その表面は、不規則な切子面になっている。論文著者は、大きな胴体部の末端に直径約800メートルの盆地があることを明らかにしているが、これは、大規模な衝突によって生じた可能性がある。また、トータティスの表面には、50か所以上のクレーターがあった。
今回の観測結果は、トータティスがラブルパイル小惑星(破砕集積体の小惑星)である可能性が非常に高いことを示している。ラブルパイル小惑星は、大きな衝突や数多くの小さな衝突を通じて、大きな断片が集積した弱い凝集体として再形成する可能性がある。トータティスは、2つの部分から構成され、頭部と胴体部の向きが異なっている。このことは、2つの異なる天体が合わさって接触連星となったことがトータティスの起源である可能性を示唆しているが、その形成過程で起こった具体的な事象は明らかになっていない。
doi:10.1038/srep03411
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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