Research Press Release
【生体材料】ヒドロゲルの自己修復性を高める
Scientific Reports
2013年10月3日
ヒドロゲル(伸縮性のある高分子生体材料)の自己修復応答を高めるナノファイバーの「修復層」が実証された。今回の研究では、修復層のある場合とない場合のヒドロゲル「Gel-1」の修復性の比較が行われ、修復層のある方が、修復時間が大きく短縮されるという結論が示された。
今回、Su Chenたちは、酸化還元剤を注入した2層構造のナノファイバー薄膜を作製して、生体組織の血管新生と栄養素送達を模倣した。Gel-1は、切り分けてから組み立て直すと、外部からの介入なしに断片が一体化する。Chenたちは、修復層の有効性を調べるために、2本のGel-1ロッドを切り分けてから組み立て直し、それぞれの断片の間に修復層を入れた場合と入れない場合で調べた。その結果、修復層を入れてヒドロゲルを結合させた方がヒドロゲルの修復が早くなることがわかった。この修復層は、切断面全体での分子拡散を促進し、結合を促進する酸化還元剤を増やし、供給することで修復を促進すると考えられている。
Chenたちは、自己修復層の導入が、再生医療など生物医学用途のヒドロゲルを含む他のヒドロゲルの修復過程の促進に役立つ可能性があるという見解を示している。
doi:10.1038/srep02811
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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