グラフェンでオンチップ光検出器を高性能化
Nature Photonics
2013年9月16日
グラフェンを用いた高性能オンチップ光検出器に関する3件の独立した研究が、今週オンライン版でで発表される。光検出器はコンピューターやモバイルデバイス用として重要なデバイスである。
Dirk Englundらは、1,450~1,590 nmという広帯域にわたってこれまでのグラフェン光検出器の約16倍の応答速度を示す超高速グラフェン光検出器について報告している。
2番目の論文では、Thomas Muellerらによって、光ファイバー通信システムに使用される全帯域を含む広い範囲(1,310~1,650 nm)にわたってマルチギガヘルツで動作するグラフェン光検出器が報告されている。応答速度はこれまでのグラフェン光検出器の約8倍である。 最後の研究では、Xiaomu Wangらが、中赤外周波数で動作する高応答速度グラフェンフォトダイオードを作製している。考えられる応用としては、環境中の化学物質のモニタリングや、医療検査に使用されうるオンチップ赤外分光などがある。
グラフェンがユニークな光学的・電気的特性を持つことと、既存の集積回路作製技術を用いてこうした光検出器を作製できることを考え合わせると、グラフェンがゲルマニウムや化合物半導体に取って代わる可能性が高いといえる。これらの3件の研究は、グラフェンがオプトエレクトロニクスデバイス用としてエキサイティングな可能性を秘めていることを強調するものである。
doi:10.1038/nphoton.2013.253
doi:10.1038/nphoton.2013.241
doi:10.1038/nphoton.2013.240
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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