Research Press Release
【肥満】悪いのはフルクトース
Nature Communications
2013年9月11日
砂糖の消費によって肥満とメタボリックシンドロームが起こる機構が、新たに明らかになった。マウスを用いた今回の研究では、肝臓でのグルコースからフルクトースへの代謝的変換が、グルコース誘導性の肥満、インスリン抵抗性と脂肪肝の発症における重要な段階であることが示唆されている。
グリセミック指数の高い炭水化物(例えばグルコース)の消費は、体重増加と代謝異常を引き起こすが、その発生機構は十分に解明されていない。今回、Richard Johnsonたちは、その原因がグルコースではなくフルクトースだとする見解を示している。Johnsonたちは、グルコースからフルクトースへの変換ができないマウスと肝臓でフルクトースを分解できないマウスを作製し、この2種類のマウスにグルコースを豊富に含む食餌を10週間にわたって与えた。この両系統のマウスは、正常なマウスと異なり、体重増加を起こしにくくなり、脂肪肝を発症せず、代謝パラメーターは正常だった。
肝臓におけるフルクトース産生がヒトの肥満とメタボリックシンドロームの発症でも何らかの役割を果たしているのかどうかを見極めるには、さらなる検証が必要とされる。
doi:10.1038/ncomms3434
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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