Research Press Release
氷損失の検出限界
Nature Geoscience
2013年7月15日
グリーンランドと南極氷床からの質量損失に対する人工衛星観測の観測期間の長さは、現在のところ、短期の自然変動から長期的傾向を分離するには短すぎるいう報告が、今週オンライン版に掲載される。この発見は、氷床の融解と対応する海水面上昇を同定し、より正確に予測するための連続的な人工衛星による監視の必要性を強調している。
Bert Woutersらは、9年間のGRACE人工衛星データを50年間の氷床の質量変化を再現した結果と比較した。彼らは、質量損失が加速される傾向を正確に検出する能力は記録の長さに依存することを見つけた。彼らは、南極氷床の質量損失が加速していることを検出するためにほとんど十分なデータがあるが、同じことをグリーンランドに対して適用するためにはさらに10年間の人工衛星観測が必要であると示唆している。この発見は、最近の融解の加速は将来にわたり維持されるという考えに疑問を投げかけており、現在の測定結果を外挿して将来の海水面上昇を予測することに注意を促している。
doi:10.1038/ngeo1874
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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