Research Press Release
【地球物理学】イスタンブール南方に地震の空白地帯
Nature Communications
2013年6月19日
イスタンブール郊外に位置するマルマラ地震帯の東部は、現在、地震学的に固着しており、そのために、今後、地震の出発点となる可能性のあることが明らかになった。この新知見は、マルマラ地震帯やその他の地震帯での微小地震の監視体制を改善することで、地震の危険性を推定するうえで有益な手がかりが得られる可能性を示唆している。
北アナトリア断層帯は、ヨーロッパと小アジアで最も活動的な横ずれ断層帯で、最も最近では、1999年にイスタンブール東方でマグニチュード7超の地震が2回起こっている。北アナトリア断層帯には今でも地震の危険があり、今後、この地域のどこかで地震が発生するという見解が広く受け入れられている。今回、Marco Bohnhoffたちは、マルマラ地震帯の東部にある「プリンセス諸島セグメント」と呼ばれる30キロメートルにわたる断層線において、深さ10キロメートルまで地震活動がないことを明らかにした。Bohnhoffたちは、この部分が固着していると解釈しており、今後、マルマラでの発生が予想される地震の核形成点となる可能性があるという見方を示している。 今回の研究で行われたように断層線をさらに詳しく監視することは、イスタンブールのような都市圏での地震災害計画に役立つ可能性がある。
doi:10.1038/ncomms2999
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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