Research Press Release
光ファイバーでもっと速くもっと遠くへ
Nature Photonics
2013年5月27日
光ファイバー通信システムのデータレート向上と伝送距離延長を可能にする手法が今週のNature Photonics電子版に報告されている。通常、世界中でインターネットデータや音声データの伝送に長いファイバーリンクが用いられているが、今回、2本のビーム(ツインビーム)を用いる手法によって、ファイバーリンクを移動する光データ信号に生じる歪みの量を最小限にできた。
Xiang Liu らは、データを単一光ビームに符号化するのではなく、実質的に互いに鏡像になっている2本の「位相共役」ビームを利用している。2本のビームは歪みが逆に生じるので、ファイバーリンク末端で2本のビームを重ね合わせることによって、信号歪みが大幅に除去される。
非線形歪みによって長距離光通信リンクの性能は低下するが、Liu らの方式で非線形歪みを約10分の1に低減できた。この新しい構成で、過去最高の12,800 kmの距離にわたって、8対のツインビームからなる約400 Gbit s-1の「スーパーチャネル」の伝送が可能になった。
doi:10.1038/nphoton.2013.109
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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