Research Press Release
腫瘍の血管をつくる分子スイッチ
Nature Medicine
2010年8月2日
腫瘍に成長のための栄養を補給するには新しい血管の成長が不可欠だが、がん細胞がこれを誘導するのに利用する分子の報告が寄せられている。この分子やその下流の分子を標的にすれば、腫瘍を小さくする治療法に結びつく可能性がある。
D Chereshたちはヒト腫瘍やマウスで研究を行い、マイクロRNAの1つmiR-132が、新しい血管の形成を引き起こす「血管新生スイッチ」の働きをすることを発見した。ヒトの腫瘍の血管ではmiR-132レベルが非常に高くなっていたが、正常な血管では検出されなかった。試験管内でmiR-132を血管細胞で発現させると、血管細胞の増殖が亢進したが、マウスでmiR-132の発現を低下させると、血管の発生が減少した。同様にマウスの腫瘍でmiR-132の発現を低下させると、血管の発生が抑制され、腫瘍が小さくなった。
doi:10.1038/nm.2186
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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