Research Press Release
運動技能の記憶とトレーニング
Nature Neuroscience
2010年7月12日
運動技能を修得するためのトレーニングの内容によって、これら技能の記憶が脳のどの部分に収納されるのかが異なってくるという研究結果が発表される。
C Winsteinらは、参加者に4つある標的の1つに対してレバーを押すという訓練を行った。ある訓練では、参加者は標的が1つだけの状態で訓練をし、その1つだけの標的を狙うという同じ動きを何度も繰り返し、その後、次の標的に移動した。また別の訓練では、同条件で、ただし4つの標的すべてを狙う訓練をした。
この訓練の後、選択的に脳の領域を混乱させるために、脳の頭頂部にある一次運動野と脳の前部にある背外側前頭前野のそれぞれに対して、脳活動を混乱させる非侵襲性手技である経頭蓋磁気刺激を行った。一次運動野の混乱は反復運動による修得だけを阻害したのに対し、背外側の前頭前野の混乱は並列運動だけを阻害した。これらの結果は、運動技能を記憶をしている脳の領域の位置は、それまでに修得してきたトレーニング方法に依存している可能性が高いことを示唆している。
doi:10.1038/nn.2596
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
人類学:長期的レジリエンスは苦難によって構築されるNature
-
微生物学:マウスにおけるマイクロバイオームと仔の健康との関連Nature
-
分子生物学:運動の健康効果の基礎をラットの研究で解明するNature
-
微生物学:プラスチックを分解する細菌が廃棄物の削減に役立つかもしれないNature Communications
-
遺伝学:「ケビン・ベーコン数」遺伝子の研究Nature Communications
-
考古学:アフリカ北部の狩猟採集民の食事は植物中心だったNature Ecology & Evolution