Research Press Release
皮膚パッチ剤で、インフルエンザワクチン
Nature Medicine
2010年7月19日
ごく微小な針を一面に配置したパッチを皮膚にはることにより、インフルエンザワクチンを接種できるとの報告が寄せられている。この研究はマウスで行われ、この極微針パッチは肺からのウイルス除去効果が従来の方法よりも高く、免疫系の抗体記憶が強化されることがわかった。
ワクチンを筋肉組織へと針で注入する従来のワクチン接種方法では、いくつかの問題点がある。この新しい方法を利用すれば、患者自身でも決められたとおりに接種を行うことができ、危険な医療廃棄物が減少して、強力な免疫賦与が達成できる。
M Prausnitzたちは、ミクロン程度の大きさの溶解性の針を皮膚用パッチに並べて植え付けた、簡単で安全なワクチン接種方法を提案している。この針が、痛みなしに皮膚に刺さり、ワクチンを送り込む。皮膚は活発な免疫器官なので、抗原提示細胞が大量に存在している。このパッチを試したマウスでは、インフルエンザワクチンに対するワクチン接種効果が高まることがわかった。
doi:10.1038/nm.2182
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
動物学:雌のボノボは団結し、雄に対して優位性を発揮するCommunications Biology
-
量子物理学:通信インフラを活用した長距離量子通信Nature
-
人類学:カルタゴとフェニキアの間に家族的なつながりはほとんどないNature
-
気候変動:温暖化が進む世界で急激な「気温の変化」が増えているNature Communications
-
健康:高血圧の治療は認知症リスクを低減するかもしれないNature Medicine
-
気候:都市のヒートアイランド現象による気温関連死の評価Nature Climate Change