Research Press Release
2型糖尿病に影響を及ぼす多型
Nature Genetics
2010年6月28日
2型糖尿病(T2D)の感受性に関連する遺伝的多型について報告する論文が、Nature Genetics(電子版)に掲載される。2型糖尿病とは、主に成人になってから発症する代謝疾患で、高血糖値とインスリン抵抗性を特徴とする。この疾患の罹患率は、世界的に増え続けている。
今回、M McCarthyらは、2型糖尿病のゲノムワイド関連解析(GWAS)8件分のデータを解析した。その中には、ヨーロッパ系患者のデータ(8,130症例以上)も含まれていた。次に、McCarthyらは、別の2型糖尿病患者34,412人分に関する知見を調べた。その結果、それまでに判明していた関連が再現され、さらには2型糖尿病の感受性に関連する12のゲノム領域が新たに同定された。これで2型糖尿病感受性遺伝子座の数は合計38個となった。以上の知見からは、2型糖尿病の発症機序において、ベータ細胞(インスリンを産生、分泌する膵臓細胞)の機能とインスリン作用が何らかの役割を果たすことが明らかになった。McCarthyらは、上記ゲノム領域のうちの7領域については、他の疾患やヒト形質(身長、血中コレステロール値、血中脂質値)のゲノムワイド関連解析でも報告されており、これらのゲノム領域が共通の危険因子である可能性を指摘している。
doi:10.1038/ng.609
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
神経科学:COVIDパンデミックが英国の成人の脳の老化を早めることに関連するNature Communications
-
社会科学:週4日勤務制が労働者のウェルビーイングを向上させるNature Human Behaviour
-
動物の行動:犬のテレビを視聴する習慣は性格によって異なるScientific Reports
-
疫学:欧州における鳥インフルエンザ発生の主な予測因子が特定されるScientific Reports
-
素粒子物理学:CERNで観測されたつかみどころのない物質と反物質の非対称性Nature
-
古生物学:獲物に忍び寄るための古代爬虫類の特殊なヒレNature