Research Press Release
ヒトのニッケルアレルギーの解明
Nature Immunology
2010年8月16日
ニッケルがヒトのアレルギーを引き起こす仕組みの報告が寄せられている。ニッケルを含むアクセサリー(指輪やイヤリング、ピアスが多い)や携帯電話によるアレルギー反応の経験者は、世界で何百万人にも上る。
ニッケルに触れると、ひりつき、かゆみ、発赤、腫れなどが起こり、接触部位に水疱ができることもある。M Goebelerたちは、ニッケルがTLR4に結合することを明らかにした。TLR4は、病原体の検出にかかわる非常に重要な受容体で、これが感染性病原体を認識したときと同じように、ニッケルも炎症応答を誘発し、アレルギーの症状が現れる。
ニッケルが特異的に結合する、TLR4の2か所の結合部位も突き止められた。これらの部位を変異させると、TLR4はニッケル認識能力を失うが、病原体に対する応答能力はそのまま維持される。したがって、TLR4を部位特異的に阻害すれば、重要な免疫応答には影響を及ぼさずにアレルギーだけを治療できる方法につながる可能性がある。
doi:10.1038/ni.1919
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
がん:膵臓がんまたは大腸がんの患者において有望な効果を示すワクチンNature Medicine
-
生態学:熱波が熱帯の鳥類の個体数減少と関連しているNature Ecology & Evolution
-
気候変動:ペリト・モレノ氷河の後退が最近大幅に加速Communications Earth & Environment
-
考古学:スペインの洞窟で新石器時代の人肉食の証拠が発見されるScientific Reports
-
気候変動:鉱物資源の不足が低炭素化移行を制限する可能性Nature Climate Change
-
人類の進化:スラウェシ島における初期ホミニンの居住Nature