Research Press Release
小型環状DNAで初期化
Nature Methods
2010年2月8日
ゲノムを永久的に改変することなくヒト人工多能性幹細胞を作製する簡単な方法が、Nature Methods(電子版)に発表される。
ヒト細胞に多能性を与える初期化は、発生と疾患の研究、および究極的には細胞を利用する治療法の面で、期待が大きい。しかし、理想的には、永久的なゲノムの改変を行わずに人工多能性幹細胞を作製する、優れた方法が必要とされている。
今回J Wuたちは、初期化に必要な4因子を運ぶ単純な小型環状ベクターによって、2種類のヒト細胞が初期化されることを明らかにした。このベクターで因子を運ぶことによって成人の脂肪幹細胞が初期化されることは、注目に値する。脂肪幹細胞は、比較的人体から採取しやすく、患者独自の細胞株を樹立するための優れた細胞供給源となる可能性をもっているのである。この小型環状DNAは、時間の経過とともに細胞から失われ、ゲノムには組み込まれない。
doi:10.1038/nmeth.1426
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
がん:膵臓がんまたは大腸がんの患者において有望な効果を示すワクチンNature Medicine
-
生態学:熱波が熱帯の鳥類の個体数減少と関連しているNature Ecology & Evolution
-
気候変動:ペリト・モレノ氷河の後退が最近大幅に加速Communications Earth & Environment
-
考古学:スペインの洞窟で新石器時代の人肉食の証拠が発見されるScientific Reports
-
気候変動:鉱物資源の不足が低炭素化移行を制限する可能性Nature Climate Change
-
人類の進化:スラウェシ島における初期ホミニンの居住Nature