Research Press Release
小児アレルギー性疾患に関連する多型
Nature Genetics
2010年3月8日
染色体5q22に存在する遺伝的多型が、小児好酸球性食道炎(EoE)に関連することを明らかにした論文が、Nature Genetics(電子版)に掲載される。EoEは、アレルギー性疾患の一種で、食物アレルギーが引き金となることが多い。
EoEは、約10,000人に1人が発症し、主として湿疹と喘息の病歴のある若年男性が発症する。食道の炎症、そして免疫系を構成する細胞の1つである好酸球が食道に蓄積することが、EoEの特徴となっている。ほとんどの場合、アレルギーを誘発する食用タンパク質を除いた粗食を導入することでEoEを治療することができる。
H Hakonarsonらは、約400人のEoE罹患者を対象としたゲノムワイド関連解析を行い、染色体5q22に存在する遺伝的多型がEoEに関連することを見いだした。この染色体領域には、TSLP遺伝子が含まれている。また、EoE罹患者と非罹患者の食道生検では、EoE罹患者におけるTSLP遺伝子の発現が、非罹患者の場合よりも亢進していた。
doi:10.1038/ng.547
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
がん:膵臓がんまたは大腸がんの患者において有望な効果を示すワクチンNature Medicine
-
生態学:熱波が熱帯の鳥類の個体数減少と関連しているNature Ecology & Evolution
-
気候変動:ペリト・モレノ氷河の後退が最近大幅に加速Communications Earth & Environment
-
考古学:スペインの洞窟で新石器時代の人肉食の証拠が発見されるScientific Reports
-
気候変動:鉱物資源の不足が低炭素化移行を制限する可能性Nature Climate Change
-
人類の進化:スラウェシ島における初期ホミニンの居住Nature