Research Press Release
Salmonellaが宿主を害する仕組み
Nature Methods
2010年3月15日
病原菌Salmonella entericaが宿主細胞に注入するタンパク質を標識する技術が、Nature Methods(電子版)で発表される。これにより、そのタンパク質の機能が解明されるとともに、Salmonella感染を予防する方法が示されると考えられる。病原菌がタンパク質を利用するタイミングと部位を正確に知ることは、それを攻略するうえで重要であろう。
Salmonellaは、ヒトに重度の胃腸炎および腸チフス熱をもたらす病原菌である。この病原菌が宿主細胞に侵入するにあたっては、まず一部のタンパク質を宿主に注入し、それを利用して細菌自体が宿主内部に侵入する。侵入すると、細菌タンパク質の第二波が宿主細胞の内部に注入され、それがこの細菌の増殖に役立つ。このタンパク質第二波のタイミングと部位は、細菌自身が厳密に調節している。
このタンパク質を追跡するため、A Palmerたちは、宿主細胞内で発現する片割れと補完し合って初めて光り始める蛍光タンパク質のパーツでそれを標識した。このタンパク質相補分析法により、Salmonellaは、生きた宿主細胞に注入した複数のタンパク質を追跡し、自分のために細胞装置を利用する様子を可視化することができるようになった。
doi:10.1038/nmeth.1437
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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