Research Press Release

麻薬探求に自然に抵抗

Nature Neuroscience

2013年4月1日

RolandBockたちは、コカインを自己投与するようにマウスを訓練し、個々のマウスが報酬のコカインを探し出す作業にどの程度熱心かを記録した。そして、コカインを熱心に探そうとするマウスでは、中隔側坐核という脳領域のシナプスが増強されていることがわかった。この領域は報酬刺激に対する神経応答の処理に重要なはたらきをする。この脳領域には2群の細胞があり、それぞれが発現する神経伝達物質ドーパミンに対する受容体の型が異なり、神経投射のパターンが独自で、直接経路ニューロンと間接経路ニューロンとよばれている。Bockらが発見したところによると、間接経路を構成するニューロンのシナプスは、強迫的なコカイン探索行動を発達させるのに失敗したマウスでのみ、増強されていた。対照的に、直接経路のシナプスの強さは、コカイン探索の強い衝動を示すか示さないかにかかわらず、高かった。これらの発見は、間接経路ニューロンの強いシナプスが強迫的な麻薬使用に対する防御となっている可能性を示唆している。

直接経路と間接経路とでニューロンは異なる遺伝子を発現しているので、この研究は麻薬中毒を処置する新しい薬剤標的を開発する手がかりをもたらす可能性がある。

doi:10.1038/nn.3369

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

「注目のハイライト」記事一覧へ戻る

プライバシーマーク制度