Research Press Release
【古生物学】古代のラクダは北極にいた
Nature Communications
2013年3月6日
Palaeontology: Ancient camels were ships of the Arctic

現生ラクダの起源は北極だった可能性を示すデータを示した論文が、今週掲載される。この論文では、約350万年前にカナダの高緯度北極域で大型ラクダが生息していたことを示す証拠について報告されている。
ラクダは、一般に乾燥地域と関連づけられているが、約4500万年前の始新世の北米に起源がある。今回、N Rybczynskiたちは、カナダの高緯度北極域でラクダの遺骸化石が発見され、北米のラクダの生息域が約1200キロメートル北方に広がったことを報告している。Rybczynskiたちは、ラクダの化石が発見された堆積物層の年代を鮮新世中期としている。この時期は、比較的温暖で、このラクダが生息していた頃、この地域は森林に覆われていた。
Rybczynskiたちは、この頃のラクダが現代のラクダより大型で、2000キロメートル以上離れたユーコン地方に生息していた大型ラクダと共通点があることを指摘している。今回の研究結果は、現生ラクダの進化史が、森林に覆われた北極で十分に定着していた大型ラクダの系統までさかのぼる可能性を示唆している。
doi:10.1038/ncomms2516
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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