Research Press Release
【生物科学】他人を助けようとしない人間を低く評価するフサオマキザル
Nature Communications
2013年3月6日
フサオマキザルは、他者を助けることを明示的に拒否する人間にマイナスの評価を下すという見解を示す論文が、今週掲載される。この新知見は、第三者との相互作用に基づく社会的評価が人間に特有なものでないことを示す証拠となっている。
人間の場合、「盗み聞き」や「評判」によって得られた情報を基にして行動することが、幼少期から始まる。しかし、他の動物種において、第三者との社会的相互作用に基づいた社会的形質の評価に関する実験的解析はほとんど行われていない。今回、J Andersonたちは、お互いを助け合う演技と助け合わない演技を行う2人の俳優の前にフサオマキザルを置いて、それぞれの俳優からどの程度積極的に食物を受け取るのかを調べた。その結果、相手方からの支援の要請を絶えず拒否していた俳優から食物を受け取る頻度の方が低いことがわかった。
今回は、人間の行動を観察するフサオマキザルに関する研究が行われたが、Andersonたちは、フサオマキザルが、他のサルとの通常の集団生活という状況下でも、こうした評価結果を適用する可能性が高いと結論づけている。また、今回の実験的方法が、人間以外の霊長類における社会的行動の進化に関して、さらなる手がかりを得るうえで役立つことを期待している。
doi:10.1038/ncomms2495
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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