Research Press Release
細胞死をモニタリングする
Nature Materials
2013年1月28日
ヒドロゲルを利用したナノセンサーで細胞死をモニタリングできることが報告される。このセンサーを用いれば、生体への細胞移植後の細胞死の過程、特に最も重要な細胞死のタイミングに関する理解を深めることができる。
移植後の細胞の運命を評価する現在の方法として、細胞標識法とレポーター遺伝子を用いる方法がある。細胞標識法は細胞死後も信号が出続ける可能性があり、レポーター遺伝子の使用は異質な遺伝物質を導入するという臨床的デメリットがある。
このたび、Michael McMahonらは、磁気共鳴イメージング(MRI)を用いて生体内で非侵襲的に細胞死をモニタリングできるセンサーを報告している。pHに敏感な造影剤をリポソームマイクロカプセルに封入して、細胞死に伴う局所的なpH変化をMRIで検出する仕組みである。光学的イメージング法には、たとえば信号が生体組織を透過しにくいなどの問題があるが、今回の方法では細胞死のモニタリングの際こうした問題が生じない。さらに、この方法で得られた情報は、解像度の高い解剖学的画像と合わせて利用することができるので、臨床評価が容易になる。
doi:10.1038/nmat3525
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
環境:アマゾン先住民の領域が人間の健康に恩恵をもたらすCommunications Earth & Environment
-
動物学:タコはあらゆる作業に最適な腕を前面に出すScientific Reports
-
気候変動:主要な炭素排出源が熱波の強度と発生確率に影響を及ぼしているNature
-
惑星科学:地球近傍小惑星リュウグウの母天体には長い流体の歴史が存在するNature
-
古生物学:トカゲのような生物の起源をさらに遡るNature
-
惑星科学:火星の泥岩に残る特徴が古代の環境条件を解明する手がかりとなるNature