Research Press Release
人生初期のストレスが思春期の脳を変化させる
Nature Neuroscience
2012年11月12日
幼少期のストレスは女性の思春期における不安や憂うつといった症状につながりかねないという研究が、今週号のNature Neuroscience誌に報告されている。研究により、女の子にストレスが及ぼす影響はストレスホルモンの1つ、コルチゾールの濃度によるもので、それが思春期の脳機能を変化させることが発見された。
Cory Burghyらは「ウィスコンシン大学による家族と労働の研究」の一環として、幼少期から思春期までの子どもたちについて研究した。研究では、幼少期における母親からのストレスに関する情報を、ストレスホルモンであるコルチゾールの子ども時代の濃度として集め、また思春期の脳機能を機能的磁気共鳴画像法により評価した。Burghyらは、女の子では生後1年のうち早い時期のストレスの程度が後の子ども時代におけるコルチゾール濃度に結びついていることを明らかにした。子ども時代のコルチゾール濃度はさらに、子どもが思春期に達した時期での、感情の制御にかかわるとされる脳の2つの領域、扁桃体と前頭前野の間の連絡を予告するようだった。脳におけるこの連絡の程度は、思春期における不安や抑うつといった症状に関連していた。この研究は、生後早い時期のストレスが後年の脳機能に影響するしくみや、これが気分障害の発生を導く可能性についての洞察をもたらすものである。
doi:10.1038/nn.3257
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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