Research Press Release
耳からのバッテリー
Nature Biotechnology
2012年11月12日
哺乳類の内耳に自然に生じる電池に似た電気化学的勾配を初めて取り出し、小型のワイヤレス送信機を動かすのに利用したとの報告が寄せられている。この方法をさらに最適化していけば、いずれは、薬剤送達装置や分子センサー、ヒトの耳周辺に埋め込んだ補聴器などの装置の電源にできるかもしれない。
動物の体内で生じる電気化学ポテンシャルのうち、これほど大きな解剖学的構造で生じるのは、内耳の「蝸牛内電位」だけである。蝸牛内電位のエネルギーを捉えようとする際に大きな問題になるのは、電圧も抽出可能な電力も非常に小さいことで、既存の最も高効率の回路で捉えられる大きさの10分の1以下である。
Anantha Chandrakasan、Konstantina Stankovicたちは、特別に設計した電子チップを利用して、この難問を克服した。著者たちは、麻酔したモルモットの蝸牛表面にチップを置いて蝸牛に埋め込んだ微小電極につなぎ、5時間にわたって~1nWの電力を抽出することに成功した。ワイヤレス送信機を動かすのに十分な電力であり、これで蝸牛内電位の測定値を送信することができた。
doi:10.1038/nbt.2394
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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