Research Press Release
細胞死の磁気スイッチ
Nature Materials
2012年10月8日
今週のNature Materials電子版によると、外部磁場を印加することにより細胞死シグナル伝達のスイッチをオンにできることがin vitroおよびin vivoで実証された。プログラムされた細胞死(アポトーシス)のスイッチを選択的に制御できることは、癌治療において重要な意味を持つ。
Jinwoo Cheonらは、抗体が結合した亜鉛ドープ酸化鉄ナノ粒子を作製した。この粒子は細胞死受容体を標的とし、磁気的に活性化させるとアポトーシスシグナル伝達経路を促進する。Cheonらは、癌細胞上で高度に発現した相補的受容体とこれらの抗体が結合した後、磁場をオンにすると細胞死受容体のクラスタリングが起こり、アポトーシスが始まることを見いだした。また、このような磁気的制御の例として、脊椎動物系の標準的なin vivoモデルであるゼブラフィッシュの尾部領域でアポトーシスに特徴的な形態変化が起こることも示している。
さらに、Cheonらは、磁気的スイッチを用いて細胞過程を制御するこの方法が、表面膜受容体のクラスタリングを介する細胞機能にも拡張して応用できる可能性があると指摘している。
doi:10.1038/nmat3430
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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