Research Press Release
薬物の標的を拡張する
Nature Methods
2012年9月17日
多くの薬物探索研究の標的であるGタンパク質共役受容体の大部分をアッセイすることができる高処理能法が、今週のNature Methodsで発表される。このアッセイ法により、既存の方法では対処が困難であったGPCRの分析が可能となる。
GPCRは細胞シグナル伝達タンパク質のファミリーとして最大のものであるが、既存のアッセイ法には制約があり、薬物探索研究が妨げられる場合もあった。
青木淳賢たちが開発した「切断アッセイ」では、まずGPCR発現細胞をリガンドで刺激し、ついで細胞表面からのタンパク質の放出に見られる反応を測定する。この方法では、116種類のGPCRの90%に活性化物質が発見され、そのうち14個はこれまでに知られていないものであった。さらにこの方法では、これまでに生物学的リガンドが知られていなかったオーファン受容体3個に内因性のリガンドが発見された。
この切断アッセイは、GPCRという普遍的な細胞受容体の性質を明らかにするための研究、およびGPCRとその機能を制御する物質とを結びつけようとする研究に利用可能な高処理能アッセイ法の列に加わる価値ある方法となる可能性がある。
doi:10.1038/nmeth.2172
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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