Research Press Release
新生児のウイルス感染が喘息につながる
Nature Medicine
2012年9月10日
マウスでは、一生の早い時期にウイルス感染を繰り返すと防御免疫機構が損なわれ、喘息のリスクが高まるという。この経路が見つかったことで、環境因子が引き金となって成人してからの免疫疾患のリスクが高まるしくみについて、理解が深まった。
ヒトでは幼年期にウイルス感染を繰り返すと喘息の発症リスクが高まるが、新生児では母乳から移行するタンパク質を介してアレルギーの発生は抑えられている。実際、授乳中のマウスを低用量のアレルゲンに曝露すると新生仔の喘息が防げることが、これまでの研究によって明らかになっている。
Anuradha Rayたちは、母乳で育てて喘息から守られている新生仔マウスを呼吸器多核体ウイルスに繰り返し感染させると、この防御効果がなくなり、後年喘息を発症しやすくなることを発見した。ウイルス感染が肺の炎症応答を誘発し、これが制御性T細胞とよばれる防御免疫細胞の機能を損なう。すると、これらの細胞が炎症性メディエーターを生産し、アレルギー反応を促進する。
doi:10.1038/nm.2896
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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