Research Press Release

雄のコビトカバは自分の精子を変えて雌争いの種を減らす

Nature Communications

2012年2月29日

飼育下のコビトカバ集団の雄は、精子中のX染色体とY染色体の比率を調節して、雌の子孫の比率を高める能力を持っており、これが、この集団内での雌獲得競争を緩和する一つの手段となっている可能性がある、とした研究結果が明らかになった。その詳細を報告する論文が、今週、Nature Communicationsに掲載される。 動物の子孫の出生時性比は50-50と予想されているが、この比率を変える能力を持つ動物集団の存在を示す証拠がある。今回、J Saragustyたちは、飼育されている絶滅危惧種のコビトカバ(Choeropsis liberiensis)の集団を調べて、雌が多いことを発見した。新たに生まれた子孫のうち、雄は、全体の約42%に過ぎなかった。これまでに報告された出生時性比の変化の大部分は、雌による選択が原因だと考えられていたが、今回の研究結果は、この集団の雄が、その精子における性比を能動的に変化させる手段を持っていることを示唆している。コビトカバの雄にとって、こうすることには、将来的な交尾相手をめぐる争いを減らせる利点がある、とする見解をSaragustyたちは示している。

doi:10.1038/ncomms1700

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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