Research Press Release
いつまでも続く痛み
Nature Neuroscience
2012年7月2日
今週のNature Neuroscience誌に発表される論文によると、痛みの体験にかかわるとされている2つの脳領域間 の機能的な大規模連絡をもとに、背部痛患者が問題発生後数年の時点で引き続き痛みを訴えるかどうかを予測できる。
Vania Apkarianらは、背部痛を初発した患者について経年研究をした。時とともに治癒する患者がいる一方で、痛みが持続する患者もいた。機能および構造の 脳画像は、側坐核と前頭前野の機能的連絡にみられる初期の差異を示しており、これは慢性痛をこうむるであろう患者を予測していた。 Apkarianらはまた、持続する痛みの体験には灰白質密度にみられる緩やかな変化が関係していることも発見した。
これまでの研究は慢性痛を導くものとして末梢神経や脊髄にみられる変化に集中していたが、今回の研究結果は、急性痛から慢性痛への移行に脳も 同じく役割を果たしていることを示している。
doi:10.1038/nn.3153
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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