Research Press Release

黒色腫を進行させる因子を突き止める

Nature Cell Biology

2012年7月9日

先天性巨大母斑とよばれる色素性の母斑や、こうした母斑から生じる黒色腫の形成と維持を助ける因子のひとつが明らかになった。この知見は、黒色腫の治療戦略を進展させる重要な手がかりとなりそうだ。

O Shakhova、L Sommerたちは、黒色腫促進因子のひとつとして知られているNras変異体を持ち、同時にヒト黒色腫で不活性化していることが多いINK4aを欠失する黒色腫マウスモデルを作出した。このマウスモデルと、ヒトの先天性巨大色素性母斑および黒色腫は非常によく似ていることが明らかになった。そして、発生過程で神経提幹細胞から皮膚の色素細胞を形成す るのに必要な因子であるSox10は、このマウスモデルとヒト患者から得られた母斑および黒色腫標品中に高レベルで存在することがわかった。また、神経提幹細胞の活性の抑制、あるいはこの細胞の増殖と生存の阻害によりSox10の濃度を低下させると、マウスでの黒色腫形成が抑えられることも実証された。

Sox10が先天性巨大母斑や黒色腫の形成と維持に必須であるというこの結果は、黒色腫という悪性皮膚がんに対する治療法の開発に役立つと考えられる。

doi:10.1038/ncb2535

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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