Research Press Release
ナノポア(多孔質粒子)シークエンサーでDNA塩基4種類すべてを検出
Nature Biotechnology
2012年3月26日
ナノポアを利用した方法で、塩基配列のわかっているDNA鎖のヌクレオチド塩基4種類すべてを、うまく識別できるとの報告が寄せられている。ナノポアによる塩基識別ができることが明らかになったのはこれが初めてであり、由来のわからないDNA鎖の塩基配列を決定できるナノポア技術の実現への重要な一歩である。
塩基配列の解読にナノポアを利用するという案が出されたのは20年以上前だが、これが実際に可能かどうかはよくわかっていなかった。Jens Gundlachたちは、複雑な塩基配列中でも、個々の塩基がイオン電流に基づいて識別できることを示す実験データを得たという。このイオン電流は、DNAが膜中のナノポアを通過する際に変化する。Gundlachたちは、ナノポア中の最も小さい孔をヌクレオチドが通過するときに、それに隣接する数個のヌクレオチドがイオン電流に影響を及ぼすことを発見した。イオン電流の測定値を解析して、配列のわからないDNA鎖の塩基配列を決定するには、新しいアルゴリズムが必要になるだろう。
doi:10.1038/nbt.2171
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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