Research Press Release
パーキンソン病患者由来の幹細胞を治療法開発研究に役立てる
Nature Communications
2012年2月8日
パーキンソン病患者の皮膚細胞から作製した多能性幹細胞を用いた研究の成果が明らかになった。こうした幹細胞の作製は、実験室でパーキンソン病を詳しく研究するための有用な手段といえる。詳細を報告する論文が、今週、Nature Communicationsに掲載される。 J Fengたちは、Parkin遺伝子に変異のある2人の患者の皮膚から繊維芽細胞を採取した。Parkin遺伝子は、劣性遺伝性パーキンソン病において変異が見られる遺伝子だ。Fengたちが、この繊維芽細胞を再プログラム化して誘導多能性幹細胞を作製し、この幹細胞を中脳ドーパミン作動性ニューロンに分化させたところ、このニューロンには、酸化ストレスの特徴とドーパミンの放出と取り込みの異常が見られた。そして、Fengたちは、このニューロンに野生型Parkinタンパク質を導入することで、このニューロンの「表現型」(観察可能な特徴と形質)を救済できることを発見した。 こうした細胞を作製することは、パーキンソン病研究を促進し、この疾患の治療に利用しうる化合物のスクリーニングにも役立つ可能性がある。
doi:10.1038/ncomms1669
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
化石:最も古く知られている「爬虫類」の足跡Nature
-
惑星科学:月内部の非対称性を示す証拠Nature
-
古生物学:「シカゴ」始祖鳥が、この古代鳥に新たな知見をもたらすNature
-
理論物理学:二体問題を解くNature
-
がん:乳がん治療薬の臨床試験で生存率の向上が示されたものの、がんの消失は限定的であったNature Communications
-
Nature Scientist at Work コンペティションの受賞者の発表Nature