Research Press Release
史上最小のトランジスター
Nature Nanotechnology
2012年2月20日
シリコン表面にリン原子1個を極めて正確に配置することによって単一原子トランジスターが作製されたことが、今週のNature Nanotechnology電子版に報告されている。これは、史上最小のトランジスターである。 このリン原子は、ソース電極とドレイン電極の間(間隔は20ナノメートル足らず)に位置すると同時に、2つのゲート電極の間(間隔は100ナノメートル余り)に位置している。Michelle Simmonsらは、ソース-ドレイン電極間とゲート電極間に別々に電圧を印加してリン原子を通る電流を測定し、電流が電界効果トランジスターに典型的な電圧依存性を示すことを見いだした。 研究チームは、この史上最小のトランジスターを作るために、6個1組のシリコン原子のうち1個とリン原子1個を取り換える技術を開発した。これは、0.5ナノメートルを上回る正確さに相当する。本研究で数々の進歩が見られたにもかかわらず、単一原子トランジスターを日常的なデバイスとして使えるようにするには、まだ多くの課題を克服する必要がある。
doi:10.1038/nnano.2012.21
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
古生物学:アンモライト宝石が鮮やかな色を得る仕組みScientific Reports
-
古生物学:小さなティラノサウルスの謎Nature
-
生物学:新しい抗毒素が蛇咬傷から守るNature
-
気候変動:南極の棚氷が海洋温暖化によって脅威にさらされているNature
-
細胞生物学:ホッキョククジラの長寿の謎が解明されるNature
-
惑星科学:圧力下で水の世界が形成されるかもしれないNature
