Research Press Release
熱を感じるチョウの翅
Nature Photonics
2012年2月13日
虹色に輝くモルフォチョウの鱗粉を利用した高感度赤外線検出器が、今週のNature Photonicsに報告されている。この研究結果は、将来、熱画像センサーの設計の指針となるかもしれない。 赤外線サーモグラフィーは、物体から放出される熱を視覚化するために、工業、軍事、医療用に用いられている。Radislav Potyrailoらは、このたび、現在の赤外線検出器(熱管理を要することが多く、複雑な微細加工技術に依存している)より高速化・小型化・高感度化されたバイオインスパイアードセンサーについて報告している。Potyrailoらの検出器は、比較的新しいカーボンナノチューブ技術と、500万年前からあるモルフォチョウの虹色の翅の特性とを組み合わせて設計されたものである。彼らは、フォトニックナノ構造を持つ翅に赤外線が当たると、空気で満たされたフォトニックナノ構造体が加熱されて膨張し、翅の色が変化することを見いだした。また、鱗粉にカーボンナノチューブを添加することによって、翅が吸収する赤外線量が増えるため、デバイス感度が向上することを明らかにした。
doi:10.1038/nphoton.2011.355
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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