動物学:アシカは一部の人間よりもビートを正確に刻む能力に優れている
Scientific Reports
2025年5月2日
メトロノームに合わせて動くように訓練されたカリフォルニアアシカ(Zalophus californianus)は、一部の人間よりもビートを正確に刻むことができることを報告する論文が、オープンアクセスジャーナルであるScientific Reports に掲載される。この研究は、人間と動物のリズム感を直接比較した最初のもののひとつであり、時間を保持する能力が人間という種に特有のものではないことを示唆している。
一部の哺乳類や鳥類は、実験室でリズムの合図に合わせて動くことができることが証明されているが、ほとんどの脊椎動物はビートの同期をほとんど示さない。しかし、カリフォルニアに生息する15歳のアシカ、Ronanは、彼女が3歳のときにメトロノームの拍に合わせて頭を振るよう訓練され、大人になってもこの能力を維持している。
Peter Cookら(カリフォルニア大学サンタクルーズ校〔米国〕とニュー・カレッジ・オブ・フロリダ〔米国〕)は、Ronan が112、120、および128 bpm(beats-per-minute;1 分間の拍数) )のスネアドラムのビートに合わせて動くどれだけ正確に、そして一貫して動作を合わせられるかを評価した。次に、同じ音を18歳から23歳の大学生10人に聴かせ、被験者には打楽器のビートに合わせて手を振るように指示された。ビデオ・トラッキング・ソフトウェアを使って参加者のタイムキーピング(時間を保持する能力)の精度をモニターしたところ、全体的にRonanのタイムキーピングは人間よりも正確で、ばらつきが少ないことがわかった。テンポが128 bpmのとき、Ronanの平均テンポは129 bpm(±2.94)だったが、人間の平均テンポは116.2 bpm(±7.34)だった。テストの後、Ronanには魚と氷の入ったおもちゃがご褒美として与えられた。
本研究では、訓練されたアシカ1頭と人間10人の計時を評価しただけであるため、これらの結果の再現性は、より大規模な研究によって評価されるべきである。
- Article
- Open access
- Published: 01 May 2025
Cook, P.F., Hood, C., Rouse, A. et al. Sensorimotor synchronization to rhythm in an experienced sea lion rivals that of humans. Sci Rep 15, 12125 (2025). https://doi.org/10.1038/s41598-025-95279-1
doi:10.1038/s41598-025-95279-1
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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