Research Press Release
マラリアワクチンの新たな標的
Nature Communications
2011年12月21日
マラリア原虫のタンパク質の1つに対して作られたワクチンが抗体応答を起こすことが、ウサギを用いた実験で判明した。この新知見は、このタンパク質がマラリアワクチン生産の取り組みにおいて適切な標的である可能性を示唆している。 今回のウサギを用いた研究で、A Douglasたちは、赤血球期のマラリア原虫の抗原(10種類)に対するウイルスベクターワクチンを比較して、網状赤血球結合タンパク質相同体5(PfRH5)に対するワクチンの接種によって、中和抗体が産生され、ほかのものより高い抗体応答が得られることを見いだした。そして、この中和抗体の有効性を5種の培養マラリア原虫株で検証したところ、これらの抗体によって原虫の増殖が阻害されることも判明した。さらに、マラリアにさらされたケニア人集団の血液中にはPfRH5に対する抗体がほとんど検出されないか、まったく検出されなかった。このことは、PfRH5が免疫の選択圧を受けていないことを示唆している。以上の結果をまとめると、PfRH5が、マラリアワクチンの適切な標的である可能性が示唆される。
doi:10.1038/ncomms1615
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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