Research Press Release
薬剤耐性の進化
Nature Genetics
2011年12月19日
抗生物質の投与期間中に薬剤耐性を獲得する大腸菌株の全ゲノム塩基配列解読が行われた。今回の実験は、新たに開発された実験室用の微生物培養装置を用いて行われたが、この装置は、細菌集団における薬剤耐性のゲノム進化をリアルタイムで観察できるようになっている。 今回、R Kishonyたちは、長期にわたる進化実験を自動化した“morbidostat”という装置の開発を報告している。この装置は、細菌増殖の観察に加えて、薬剤の濃度を調節することで細菌に一定の選択圧を加え続けることによって、これまで以上に現実的な実験モデルが得られる。Kishonyたちは、morbidostatを用いて、数種類の薬剤をそれぞれ単独投与することで選択を受ける大腸菌集団における薬剤耐性の進化を調べた。そして、当初から薬剤感受性のある大腸菌の全ゲノム塩基配列解読を行い、次いで、最長25日間の薬剤選択にわたって分離された大腸菌のゲノム塩基配列を解読した。その結果、薬剤耐性を賦与する変異が新たに同定され、薬剤耐性の進化における変異の順序と経路に関する新知見が得られた。
doi:10.1038/ng.1034
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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